簿記検定には、3種類あります。
一番知名度がある「日商簿記」、聞いたことがある「全商簿記」、あまり知らない「全経簿記」。
この3種類にはどんな違いがあって、どれを受ければよいのか気になりませんか?
結論は、「日商簿記」を受けておけばO.K.です。
でも、ほかの簿記検定と比較すれば多くの人は日商でOKな理由がわかります。
簿記検定3種類の概要
日商簿記、全商簿記、全経簿記はそれぞれ民間の資格で、主催しているところが違います。
- 日商簿記→日本商工会議所
- 全商簿記→全国商業高等学校協会
- 全経簿記→全国経理教育協会
受験申込者数(2022年度)
2022年の各試験ごとの総申込者数。
上級 | 1級 | 2級 | 3級 | 簿記初級 | 基礎簿記 会計 | |
日商簿記 | ー | 23,000 | 103,000 | 231,000 | 2,000 | ー |
全商簿記 | ー | 95,000 | 50,000 | 45,000 | ー | ー |
全経簿記 | 4,800 | 4,000 | 11,000 | 20,000 | ー | 2,400 |
(人)
補)簡略化のため、概数にて、正確な数は各公式サイトを参照。
日商簿記の簿記初級は2017年4月から改定された資格です。
それまで4級だった資格が簿記初級になりました。
表にはあげていませんが、2018年からは初学者向けの原価計算初級も加わりました。
合格率(2022年度)
2022年度の各団体の平均合格率を計算しました。
上級 | 1級 | 2級 | 3級 | 簿記初級 | 基礎簿記会計 | |
日商簿記 | ー | 10.3% | 34.9% | 42.2% | 61.5% | ー |
全商簿記 | ー | 39.7% | 52.4% | 70.3% | ー | ー |
全経簿記 | 13.2% | 48.3% | 62% | 64.3% | ー | 73% |
上記の合格率は2022年度に実施されたそれぞれの簿記検定試験の実受験者数と合格者数をHPで参照し、合算して年間の合格率として算出しています。
注)合格率は各実施回で大きく異なっています。
あくまで、平均値として考えてください。
日商は統一試験とネット試験を合算。
難易度
ここが簿記のややこしいところで、それぞれの級と内容が一致していません。
簡単に、ある程度の難しさを表にまとめました。
難しい | 易しい | ||||
日商簿記 | 1級 | 2級 | 3級 | 簿記初級 | |
全商簿記 | 1級 | 2級 | 3級 | ||
全経簿記 | 上級 | 1級 | 2級 | 3級 | 基礎簿記会計 |
大雑把ですが、日商1級と全経上級は似たようなレベル帯。
日商2級・全商1級・全経1級は同じようなレベル帯だと考えてもらって差し支えありません。
日商簿記
日商簿記は統一試験とネット試験の合算をしていることと、知名度で圧倒的に受験申込者数が多いですね。
また、日商簿記1級を取得すると税理士の受験資格が得られます。
3種類ある簿記検定でネット試験を導入しているのは、日商簿記だけです。
ネット試験は自分で日時や場所を選択可能なので、自分のタイミングで受験できます。
合否結果もその時にその場で受け取れるため、合格発表を待つ必要はありません。
また何度でも受験できるので、落ちてしまってもすぐに再挑戦できます。
詳しく知りたい方は商工会のHPを参照してみてください。
全商簿記
全商簿記は商業高校が試験会場になることが多いので、商業高校の生徒の受験が多いようですね。
高校生向けの資格になっていますが、一般からも受験は可能です。
受験料が一律1,300円(1級は会計・原価計算で各1,300円)で問題集も安価なものが多いです。
高校で使用されている教科書をベースに試験問題が作成されているため、基礎知識が問われます。
全商簿記1級は会計と原価計算に分かれており、1科目ずつ受験する必要があります。
気になる方は全国商業高等学校協会を参照してみてください。
全経簿記
全経簿記は上級取得で税理士試験の受験資格が得られることから、受験する方がいるようです。
上級は商業簿記/会計学と工業簿記/原価計算に分類されていて、4科目を同日に受験してそれぞれに合格する必要があります。
1級も上級のように商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算に分けてありますが、同時に合格する必要はありません。
商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算の2科目を、それぞれ別日程で受験したとしても両方合格すれば1級を取得することができます。
詳しく知りたい方は全国経理教育協会を参照してみてください。
迷ったら日商でOK
簿記3団体を見てきましたが、迷ったら日商を受けましょう。
この辺は、英検とTOEICの評価の違いに近く、一般的に日商のほうが世間的な評価が高いから。
ただ、税理士の受験資格確保のため、日商1級より合格率の高い全経上級を取る選択肢はありです。
簿記を資格として取得したいのであれば、世間的な評価の高い日商が良いでしょう。